賃貸でエアコンの交換・取付・取り外しは可能?費用や負担義務を解説

賃貸でエアコンの交換・取付・取り外しは可能?費用や負担義務を解説

賃貸物件は原則として、壁に穴を開けるなど物件に傷をつけることは禁じられています。

これは物件が貸主の所有物であるためですが、エアコン取り付けにともなう工事も同様です。

エアコンはあらかじめ部屋に備え付けられていることが多いですが、借主が自分で取り付けたい場合もあるでしょう。

この記事では、賃貸物件にエアコンを取付・交換するときの、さまざまな法的なルールや制限を詳しく解説します。

備え付けの設備に関してはまず契約書を確認しよう

賃貸物件の契約書には、設備に関する重要事項説明が記載されています。

物件に備え付けられている設備に関して、主に以下のような内容が記載されていると考えられます。

  • 設備の修理や交換をおこなう際の注意事項・連絡先
  • 賃貸物件に新しく設置(増設)が可能か
  • 誰が費用負担するのか(借主か貸主か)

エアコンの場合、新たに取り付ける「増設」ができるか、すでにエアコンが備え付けられているのであれば修理や交換時の取り決めが記載されています。

もし契約書にエアコンの増設や修理、交換について記載されていなければ、大家さんまたは管理会社に問い合わせましょう。

賃貸にエアコンを増設・取付する際の注意点

ここでは、エアコンを新たに取り付ける際の注意点を解説します。

エアコンを設置できる場所か確認する

契約上エアコンを取り付けることはできても、契約している物件の設置スペースや設備によって取り付けられるかを確認しましょう。

エアコンの機種を確認し、メーカーの公式サイトを確認するのがおすすめです。

ここでは、一般的なエアコンの設置条件をご紹介します。

エアコン設置の位置

  • エアコン用のコンセントがある
  • エアコンの上下左右に50ミリメートル以上のスペースがある
  • 壁に直接設置する場合は、壁の下地が十分補強されている必要がある
  • ベランダなどドレン排水がしやすい場所である
  • 室外機が安定して設置できる

基本的に費用は入居者が負担する

借主の意思でエアコンを取り付ける場合は、原則として費用は借主が負担します。

なかには貸主が負担する場合もあるので、取り付ける前に必ず貸主や仲介する管理会社に問い合わせ、確認しておくと良いでしょう。

\ 購入や設置の費用を節約できる! /

エアコン付きの賃貸物件を見る

退去時には原状回復の義務が発生する場合がある

借主負担で取り付けたエアコンは、持ち込んだ家具や家電と同様、退去時に取り外して部屋を原状に回復する義務があります。

壁に開けた穴もしっかりふさぎ、室外機も含めた機器のすべてを取り除かなければなりません。

>>賃貸物件の原状回復とは?費用負担や相場、トラブル事例をご紹介

エアコンを退去時に残すかどうかは貸主と相談する

借主負担で取り付けたエアコンでも、転居先で買い替えるなど取り外さずにそのまま残しておいたほうが助かる場合もあります。

その場合は、そのままエアコンを残して良いかを貸主と相談しましょう。

一般的に、借主はエアコンなどの設備を買い取らない旨を契約書に記載されていることが多いです。

貸主によっては買い取ってくれたり、物件内にそのまま残しておくことを許可してくれたりする場合もあります。

賃貸の備え付けエアコンの交換・取り外しの注意点

賃貸物件ではエアコンが、あらかじめ備え付けられている場合も多くあります。

この場合のエアコンは、物件に含まれる貸主の所有物です。

借主は、物件と同様にエアコンも貸主から借りていることになります。

経年劣化の故障によるエアコンの修理・交換は貸主負担

契約内容にもよりますが、備え付けエアコンの経年劣化による故障の修理や交換は、一般的に貸主が負担することになっています。

管理会社が仲介する物件の場合、修理業者が指定されています。

費用も修理業者と管理会社の間で精算されるので、修理が必要になったらまずは管理会社に問い合わせると良いでしょう。

ただしエアコンを交換する場合、貸主が費用を負担するため、借主が希望するタイプのエアコンに交換してもらえるとは限りません。

どうしても希望のエアコンを取り付けたいのであれば、借主が費用を負担することで可能になるケースもあります。

交換する際には、貸主や管理会社に相談してみましょう。

自主的に古いエアコンを新品に交換するのは借主負担

契約内容を確認せず、自分のお金でエアコンを新品に交換しても、貸主に請求することは基本的にできません。

これは、貸主や管理会社が指定する業者でなければ、費用が割高になってしまう場合があるからです。

賃貸物件を利用している間は、どれだけ緊急でも、自分の判断で勝手にエアコンを交換するのは避けるべきといえます。

前の入居者が残したエアコンの修繕費は借主負担

前の入居者が残したエアコンは、法律上「残置物(ざんちぶつ)」とされ、契約時に重要事項として説明を受けます。

残置物は、貸主も管理会社も一切の責任を負わず、修繕費は借主が負担します。

貸主負担に該当するエアコンの故障の判断基準

エアコンが故障したからといって、必ずしも借主が修繕費を支払うわけではありません。

「臭いにおいがする」「エアコンの効きが悪い」「エアコンの音がうるさい」など、まったく使用できなくなる状態以外の不具合に関しては、修繕費が貸主負担となることがあります。

修繕に関わる法律

貸主負担となる修繕に関しては、民法第606条で定められています。

賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。

引用元:民法第606条

上記の条文をわかりやすく説明すると、貸主に義務付けられる修繕の要件は以下のとおりです。

  • 賃貸物の修繕であること
  • 賃貸物の使用・収益のために必要な修繕であること
  • 故障の原因が借主にないこと

判断基準ははっきりしていない

賃貸物が壊れた際の貸主の修繕義務は民法で定められていますが、はっきりとした判断基準があるわけではありません。

例えば、エアコンの臭いや音に問題があっても、故障と判断するかどうかは人それぞれです。

個人の主観的な評価に委ねられるため、臭いや音に関する不具合の修繕が貸主負担になるかどうかは、判断が難しくなっています。

エアコンの交換の目安は最低保有期間が目処

エアコンの交換時期がどれくらいなのか、前もって知っておきましょう。

総務省統計局による平成30年度の調査結果によると、2人以上の世帯でのエアコンの平均寿命は「13.5年」で、このうち70.2%は故障が理由で買い替えるとされています。

またメーカーごとにエアコンには修理に必要な部品の最低保有期間が設けられており、期間を超えると修理対応ができません。

多少の違いはあるものの一般に9〜10年といわれているため、エアコンも交換時期は9〜10年を目安とすると良いでしょう。

参考:平成30年度 消費動向調査「主要耐久消費財の買替え状況の推移」|総務省統計局

設備工事の費用相場

ここでは、退去の際の撤去費用を含めた設備工事費用の相場を解説します。

設置工事の費用

エアコンの設置工事費用は、取り付けるエアコンの対応畳数によって変わります。

標準工事費は、6〜12畳対応で10,000〜13,000円、14畳以上対応では13,000〜17,000円が相場です。

ただし、あくまで基本費用で、状況によっては追加工事費用も必要です。

<例>

  • 取り付ける壁の材質が特殊な場合
  • 配管パイプやドレンホースが4メートルを超える場合
  • 配管のための穴を新たに開ける場合
  • 室外機をタイプの違う設置方法で取り付けなくてはならない場合 など

最終的な工事費は、設置してみないとわからない場合もあります。

取り付ける際は、追加工事のための予算も、あらかじめ確保しておきましょう。

\ 購入や設置の費用を節約できる! /

エアコン付きの賃貸物件を見る

撤去工事の費用

エアコンの撤去には、取り外し工事の他、エアコンを解体し分別して再利用するためのリサイクルにも費用が発生します。

一般的な相場では、取り外しが5,000円前後、リサイクル料金は運搬費も含めて数千円程度、室外機が壁かけ式の場合や故障したエアコンの場合は追加費用が発生します。

合計すると、最低でも数千円、高ければ10,000円以上が必要です。

交換する場合は、撤去費用も予算に含めて検討しましょう。

エアコンを交換することで得られるメリット

エアコンを交換すると、以下のようなメリットが得られます。

電気代を節約できる

エアコンを交換すると、電気代の節約効果が期待できます。

新しい機種のエアコンは、旧タイプよりも性能が向上しており、省エネ性に優れたものが多いです。

消費電力が抑えられるエアコンに交換すれば、電気代の削減につながるでしょう。

機能が向上する

エアコンの性能は年々進化しており、搭載機能も毎年アップグレードされています。

旧タイプから最新の機種に交換すれば、機能性の向上が実感できるでしょう。

冷房や暖房の効き具合はもちろん、衣類乾燥の効果を高めることも期待できます。

故障のリスクが減る

エアコンの交換によって、故障のリスクを軽減できる可能性があります。

エアコンを長く使うためには、定期的なメンテナンスが必要です。

しかし、一定の使用年数が経過した場合は、機種に適合する交換部品の入手が困難になり、修理できなくなるかもしれません。

その点、最新のエアコンは旧タイプよりも故障のリスクが抑えられ、より長く使えます。

メンテナンスや修理にかかる手間とコストの削減につながるのもメリットです。

新機能が備わったエアコンを利用できる

エアコンを交換するメリットとして、新機能が備わったエアコンが使えることが挙げられます。

例えば、自動換気機能や空気中の菌の発生を抑制する機能などが登場しています。

最新の機能が搭載された機種に交換すると、利便性の向上や室内環境の改善が期待できるでしょう。

エアコン交換後に長持ちさせるための使い方

交換したエアコンをなるべく長持ちさせるために、使い方のポイントを知っておきましょう。

定期的に慣らし運転をする

エアコンを長く使うためには、定期的な慣らし運転が有効です。

エアコンを使わない状態で放置しすぎると、知らないうちに故障していることがあります。

エアコンを使用しない時期であっても、月に1回は慣らし運転をするのがおすすめです。

定期的にエアコンを掃除する

エアコンを長持ちさせたいのであれば、定期的にエアコンを掃除しましょう。

特にエアコンのフィルターは汚れがたまりやすいため、2週間に1回のペースできれいにするのがおすすめです。

きちんと掃除しておくと冷暖房の効率が上がるほか、エアコンが長持ちしやすくなります。

室外機も掃除する

エアコン本体だけではなく、室外機の掃除も大切なポイントです。

「ドレンホースが汚れていないか」「詰まりがないか」など、シーズン前に室外機の状態を確認しておきましょう。

また、室外機の周辺に物を置かず、風通しを良くすることも重要です。

専門の方にクリーニングしてもらう

エアコンを長持ちさせるためには、専門業者にエアコンの内部をクリーニングしてもらいましょう。

エアコン内部の汚れやほこりを定期的に取り除くと、システム全体にかかる負荷が軽減されてエアコンの長持ちにつながります。

エアコンの表面やフィルターは自分でも掃除できますが、内部のクリーニングは専門知識や技術が必要です。

自分で掃除すると故障する可能性があるため、エアコンの構造を熟知したプロに依頼するのがおすすめです。

過度な温度設定をしない

過度な温度設定はエアコンに負担がかかり、寿命を縮めることになりかねません。

外の気温とエアコンの設定温度の差は5度以内を目安にして、温度差が大きくならないように注意しましょう。

サーキュレーターや扇風機を活用すると、過度な温度設定をしなくても冷暖房の効率がアップします。

まとめ:賃貸物件での決まりを守ってエアコン交換をし、快適な空間で暮らそう

賃貸物件でエアコンを新設・交換するときは、まず契約書を確認し、費用負担や設置後の取り扱いがどう定められているかを確認する必要があります。

判断できない場合は、管理会社や貸主に相談しましょう。

また、借主側が新しくエアコンを購入・交換する場合は、設置や撤去にかかる工事費も予算に含める必要があります。

費用をしっかり確認し、エアコンの取り付け・交換をスムーズに完了できるよう備えましょう。

賃貸スタイルでは、エアコン備え付けの物件も多く掲載しています。ぜひ賃貸スタイルをご活用ください。

賃貸スタイルフリーダイヤル

設備・家具から賃貸物件を探す

全て表示する

都道府県(アパート・マンション)から賃貸物件を探す