【完全版】賃貸経営の収入の仕組みや内訳、入居者募集の手順

【完全版】賃貸経営の収入の仕組みや内訳、入居者募集の手順

マンションやアパートなどの賃貸経営には、さまざまなメリットがあります。

不動産を購入して管理するだけで毎月家賃収入を得られるため、賃貸経営を始めたいと考える方も多いでしょう。

ただ、賃貸経営は良いことばかりではなくデメリットもあります。

デメリットも理解したうえで賃貸経営を始めないと、のちにトラブルに発展するかもしれません。

今回は、賃貸経営の仕組みやメリット・デメリットをご紹介します。

賃貸経営の仕組み

賃貸経営は、不動産投資の一種で購入や建築したアパートやマンションを貸出して入居者から家賃収入を得るビジネスです。

賃貸経営には、アパート経営とマンション経営の2種類あり、それぞれ特徴が異なります。

まずは、賃貸経営の特徴や仕組みを確認しましょう。

アパート経営とは

アパート経営は、建物1棟を購入して賃貸経営するのが一般的です。

なかには複数棟のアパートを所有して、億単位の家賃収入を得る賃貸経営者もいます。

ただし賃貸経営のリスクを踏まえると、まずは1棟を保有して、十分な利益が得られるようになってから徐々に複数のアパートを経営するほうがいいでしょう。

またアパート経営は、マンションと比べると空室の割合が高いといわれています。

空室率が高くなるのは、都心から離れていたり最寄り駅から遠かったりなど立地面でマンションより劣る部分があるからです。

アパート経営をするときは、家賃はもちろんのこと物件の立地面や周辺環境などしっかり確認する必要があるでしょう。

一方で、アパートを一棟で経営する場合はマンションより管理負担が低いことがメリットです。

一般的にアパートの戸数が10~20戸に対し、マンションの場合は50以上になることもあります。

戸数が増えると管理負担が大きくなるため、アパート経営は管理面で見ると比較的負担が少ない賃貸経営です。

マンション経営とは

マンション経営は一般的にワンルームを購入して経営します。

経営がうまく回り始めたら部屋数を増やせるため、自由度が高いのが特徴です。

ただマンション経営では、共益費や管理費を支払う必要があることに注意しなければいけません。

もし経営するマンションで空室が出た場合は、家賃収入が入らないにも関わらず共益費や管理費の支払いで損失が拡大する可能性もあります。

この点をしっかり踏まえたうえで、マンション経営をするか検討する必要があるでしょう。

冒頭でも説明しましたが、マンション経営はワンルームから管理を始められます。

アパートと比較すると賃貸経営で想定する利回りが大きくなり、リスクを抑えたうえで高い収益を得られる可能性が高いです。

賃貸経営に向いている方

賃貸経営に向いているのは、以下のような特徴がある方です。

  • 不労所得を得たい方
  • 節税対策をしたい方
  • 定年後に一定の収入がほしい方

これらのように、目的が定まっている方は賃貸経営に向いているでしょう。

また、経営者の自覚を持てる方も、賃貸経営に向いているでしょう。

賃貸経営は、管理会社や不動産会社に任せることもできるものの、自分自身で判断しなければならないことも多いです。

賃貸経営を始めるのであれば、人任せにせず、家賃滞納リスクや自然災害リスク、空室リスクなどのリスクを理解したうえで取り組むべきです。

トラブルを避けたり、防止しきれなかった場合はなるべく被害を少なくするなど、その時々で判断しつつ工夫することが重要です。

賃貸経営で得られる収入内訳

ここからは、賃貸経営した際にどのような収入が得られるのかわかりやすく解説します。

国税庁の令和元年の申告所得税標本調査結果によると、家賃収入などから経費などを差し引いた国内不動産所得は、平均で521万円でした。

不動産所得が500万円以上ある層は、全体の30%以上にのぼります。

ちなみに、こちらはマンション投資もアパート経営も含めた不動産所得全体での数値です。

それでは、家賃・共益費・礼金・更新料のそれぞれの項目に分けて確認していきましょう。

なお、こちらには入れていないものの、賃貸経営をしていた建物自体を売った場合の売却益も収益の一つです。

参考:申告所得税標本調査結果

家賃

家賃収入は、立地や広さなど物件内容によって大きく異なります。

家賃の支払いタイミングは毎月で、前払いで翌月分の家賃が支払われるのが一般的です。

共益費

不動産の施設や設備を維持するために支払うお金のことを共益費といいます。

支払うタイミングは毎月で、費用目安は家賃のおよそ5~10%です。

礼金

礼金の費用目安は家賃の1~2ヵ月分ほどで、賃貸を契約する際に入居者から支払われます。

賃料滞納などのトラブル対策として預かっている敷金とは違って、礼金は入居者が退去する際に返却しないため、賃貸経営で得られる収入に含まれるお金です。

ただし、近年では礼金をとらないケースも増えてきました。

礼金をとらないケースが増加しているのは、賃貸物件の空室が多くなったことに由来します。

更新料

契約を更新するときに入居者から支払われるのが更新料です。

更新料の目安は家賃の1~2ヵ月分の金額で、支払いのタイミングは2年に1回と設定するケースが多いでしょう。

礼金と同様に、近年では更新料をとらないケースも増えています。

更新料をとらないのは、「更新料の支払いをするくらいだったら住み続けなくても良いかな」と引っ越しを考えてしまう入居者への対策です。

賃貸経営のメリット

賃貸経営には、さまざまなメリットがあります。

賃貸経営で経営者がどのようなメリットを得られるのか、確認していきましょう。

長期的に安定した収入を得られる

健全な賃貸経営ができれば、月々安定した家賃収入を得られます。

特に複数の部屋を同時に運用する場合は、空室が埋まれば得られる家賃収入も高いです。

また長期的な収入が見込めるため、老後資金や年金資金に回す方もいます。

さらに本業とは別に副業での収入源があれば、突然解雇されたり、病気や怪我で長期入院したりしても家賃収入で一定の収入を得られるのは安心です。

特に家族がいる場合は万が一の保険となるでしょう。

相続税・固定資産税の負担を軽減できる

賃貸経営は固定資産税の軽減につながります。

固定資産税とは、土地や建物などにかかる税金のことです。

アパートやマンションなどの賃貸経営により固定資産税を6分の1まで抑えられます。

相続税は、財産の合計額が基礎控除額を超える場合に支払い義務が生じる税金のことです。

所有する土地にアパートやマンションなど建物が建っている場合は更地に比べて安く評価されるため、相続税評価が下がり税金を安く抑えられます。

損益通算で節税できる

副業として賃貸経営をする場合、本業の収入と合わせて損益通算ができます。

損益通算は、損失をほかの所得で差し引きして赤字を帳消しにできることです。

例えば、副業の賃貸経営で赤字が発生しても本業が黒字であれば赤字を相殺できます。

たとえ賃貸経営で損失が出ても、本業と副業を相殺すれば課税対象となる本業での利益が減り、税額を少なくできます。

副業で発生した赤字のダメージを抑えられるのは、賃貸経営での大きなメリットでしょう。

​減価償却費で計上できる

長期にわたり賃貸を経営している場合、減価償却費で計上できます。

減価償却費は、時間の経過により価値が落ちた不動産に応じて計上できる費用です。

価値が下落した分を分割し経費として計上でき、税額計算上の所得から控除できます。

インフレ対策になる

不動産は、現在の評価で価値が決まるため、経済的な変動で影響を受けることはありません。

将来的にモノの値段が上がりお金の価値が下がるインフレが起こっても、アパートやマンションなどの不動産は直接的な影響を受けません。

多くの投資が経済的な変動は今後起こる可能性もあるため、影響を受けないのは賃貸経営の魅力でしょう。

生命保険の代用になる

ローンを組んで不動産を購入した際に、団体信用生命保険に加入しておけば、契約者に万が一のことが起こってもローンの返済が免除されます。

団体信用生命保険とは、ローンの債務者が返済期間に亡くなったり高度の障害者になったりした場合に、保険金で一括完済できる保険のことです。

後継者はローンを完済し終えた賃貸を資産として保有できます。

賃貸経営のデメリット

アパートやマンションなどの賃貸経営は、良いことばかりではありません。

次は、賃貸経営のデメリットを見ていきましょう。

空室が埋まらないことがある

マンションやアパートを経営したからといって、常に満室になるとは限りません。

当然のことながら、長期間の空室が続くと安定した収入は見込めないため損失が膨らみます。

賃貸経営を検討する方は空室のリスクを見逃しがちですが、空室をいかに回避して経営するかが賃貸経営を成功させる重要なポイントになるでしょう。

空室を埋めるための工夫には、礼金や更新料をとらない方法があります。

また、敷金をとらないことも空室を埋めるための対策の一つです。

賃貸経営をおこなううえで直接的な収益につながる礼金や更新料を0円にするよりは、トラブル対策のために預かっている敷金をとらないようにするほうが、収入へのダメージは少なくなります。

賃貸物件をリフォームし、入居者にとって今までよりも魅力的な物件に見えるようにするのも、おすすめの対策方法の一つです。

リフォームをおこなった場合にはその分費用もかかっているため、家賃の見直しなども検討すると良いでしょう。

建物や設備の経年劣化が起きる

賃貸経営をするうえで避けて通れないのが、建物や設備の経年劣化です。

新築のアパートやマンションであっても、時が経つと次第に老朽化するため、建物や設備を維持するためのメンテナンスとして修繕費が発生します。

修繕費を出し惜しんでメンテナンスを怠ると建物や設備は劣化し、場合によっては入居者の確保が困難になることもあるかもしれません。

賃貸経営をおこなう場合は、修繕費のランニングコストがどのくらいかかるのか、事前に計算しておくことが大切です。

自然災害による損害が起きる

日本は、年間を通して地震や台風などさまざまな自然災害がよく起こります。

自然災害が起こるとアパートやマンションは直接的な被害に遭い、経営者が損害を受ける可能性が高いです。

自然災害が起こることを前提として、賃貸経営では火災保険や地震保険に加入しておきましょう。

保険の加入には費用がかかりますが、自然災害が多いといわれる日本ではもしもに備えて保険に加入しておくことが望ましいです。

特に1981年より前に建てられたアパートやマンションは、古い耐震基準に沿って建築されています。

自然災害が起こったときは大きな被害に拡大する場合もあるため、保険に関しては十分に考慮しなければいけません。

自然災害のリスクに関しては、地域ごとの被害を予測したハザードマップが用意されています。

そのため、ハザードマップをしっかりと確認してから、不動産購入を決めることをおすすめします。

入居者とのトラブルがある

賃貸経営をするなかで、入居者との間でトラブルが起こることもあるでしょう。

トラブルの対応に手間や時間がかかるほか、場合によっては入居者に退去を申し出ないとならないこともあります。

また1棟で賃貸経営する場合は、入居者同士のトラブルにも対応しなければいけません。

うまく対応できないと、退去者の増加や入居者の応募が減少することもあるでしょう。

入居者との間で起きやすいトラブルは、家賃滞納、騒音トラブル、ペット飼育などです。

毎日大音量の音楽を流す入居者がいると、その部屋の周りの住民から騒音トラブルに関するクレームが入るケースがあります。

また、騒音トラブルがあった場合、クレームを入れないままで退去していってしまう入居者も多いです。

騒音トラブルに関するクレームが入ったら、すぐに対応するようにしましょう。

収益悪化のリスクがある

賃貸経営をはじめたときは良くても、続けているうちに収益が悪化してしまうリスクがあります。

経営をはじめる際は、多額の借り入れをするケースが多いでしょう。

もしも変動金利で借り入れていた場合には、将来的に金利が上昇し、返済額が想定以上の金額となった場合、収益が悪化する可能性があります。

【入居者募集の手順】賃貸経営をはじめるまでの準備

賃貸経営をはじめるにあたり、事前に確認しておくべき準備がいくつかあります。

準備すべき内容を確認していきましょう。

賃貸経営をおこなう目的を明確にする

節税対策をしたい、不労所得を得たいなど、賃貸経営をおこなう目的を明確にしましょう。

目的を明確化すれば、自分が進むべき方向が定まります。

今自分が何をすべきかも明確になるため、時間も有効的に使えるはずです。

また賃貸経営するなかで、自分は目的に向かって正しい方向に進めているか、定期的に確認しましょう。

自分で決めた目標は、賃貸経営を進めるうえで重要な指標になるため、問題や失敗の回避につながることも多いです。

住んでもらいたいターゲット層を決める

入居者のターゲットが学生なのか、ファミリーなのかなど、住んでもらいたい層によって賃貸物件の設備や家賃設定も変わります。

賃貸経営では、空室をできる限り少なく抑えることが重要になるため、ターゲットの設定は必要不可欠です。

住んでもらいたいターゲットの例と、ターゲット層ごとの対策は以下のとおりです。

  • 学生がターゲット層の場合……インターネット環境を整える
  • ファミリー層がターゲット層の場合……住み続けてもらえるよう、キッチンや風呂場の設備のグレードを上げる

これらのようにターゲットを明確にし、ターゲット層に合わせた対策をして、入居者募集をおこないましょう。

入居者の募集内容を決める

家賃や管理費など、入居者を募集する際の条件を決めましょう。

設備が新しくて見た目もきれいな新築物件であれば、家賃は高めに設定しても空室が出にくいでしょう。

また、1室ごとの床面積の広さや立地などによっても、家賃は大きく異なります。

床面積が広ければ多少高めに、狭ければその分低くするなど、物件の条件に合わせた入居者の募集内容を決めましょう。

メンテナンス・修繕の項目と費用を検討する

建物や設備は、使い続けているうちにだんだんと老朽化していきます。

賃貸経営のコストを計算するためには、日頃のメンテナンスや大規模修繕などにかかる費用を項目ごとに検討する必要があります。

メンテナンス・修繕の項目と費用の例は、以下のとおりです。

費用名 金額の目安 タイミング 概要
原状回復費用 数万~20万円 退去時 借主の責によるものは敷金から充当する。
設備の補修費用 数万~数十万円 その都度 設備の不具合などでおこなう。修繕費用としてある程度お金を残しておく。
大規模修繕費用 数百万~1千万円 数年~数十年単位 約15年ごとに必要。屋根や外壁など共用部の修繕をおこなう。
予防修繕 数万~数十万円 1年~数年に1回。退去時も 設備の入れ替えやリフォーム工事など。戸数分の費用が必要。

収益が出るよう資金計画を立てる

ローンを組んで不動産を購入する場合、資金計画をしっかり立てましょう。

資金計画とは、賃貸経営をするにあたって必要な資金をどのように準備し、賃貸を運用していくかを事前に計画したものです。

ローンを組んで不動産を購入する場合、月々の家賃収入を返済に回す方もいます。

ただ早くローンを返済したくて家賃を相場よりも上げてしまうと、入居者が集まらないことも多いです。

ローンをどうやって返済していくか、具体的な資金計画を立てましょう。

資金計画を立てる際は、ローンの種類や融資を受ける金融機関、借入期間、金利の種類、返済方法などを検討します。

また、自己資金を把握し、必要な資金を計算しましょう。

そのうえで、まとまった金額を支払うタイミングごとの資金の支払計画やローンを無理なく返済できる金額の計画をして、借入をおこないます。

賃貸経営初心者が知っておきたい税金と法律関連の知識

賃貸経営を初めておこなうのであれば、税金や法律関連に関する知識を深めておきましょう。

税金の知識

賃貸経営では、不動産を取得するときや運営期間、所得を得たときなど、さまざまな場面で税金がかかります。

税金に関する必要な知識の例は、以下のとおりです。

  • 所得税
  • 確定申告
  • 不動産にかかる税金

このうち、不動産にかかる税金は、購入時や保有時、売却時にさまざまな税がかかっています。

特にローンを組んで不動産を購入している場合は、税金の知識がないと支払いに追われることになるかもしれません。

賃貸経営では、確定申告や家賃収入などの課税方法など不動産にかかる税金の理解を深めておくことが大切です。

確定申告の知識

賃貸経営をして不動産所得を得る場合には、原則として確定申告をしなければなりません。

確定申告では、青色申告か白色申告かを選択できます。

青色申告は手間がかかるものの、控除額が増えることや繰越控除ができることなどの特典がありおすすめです。

不動産所得とほかの所得を含めた金額が20万円に満たない場合には、確定申告をおこなう義務はありません。

不動産所得が赤字の場合も確定申告の義務はありませんが、給与所得などがある場合には確定申告した方がお得です。

法律関連の知識

土地や建物の取引ルールを定めた宅地建物取引業法や、賃貸経営に必要な規制を定めた建築基準法などさまざまな法律があります。

法律の知識を深めておけば、賃貸経営をするうえで有利に働くことも多いです。

賃貸経営を検討しているなら、どのような法律なのか事前に把握しておくのがいいでしょう。

必要な法律関連の知識の例は、以下のとおりです。

  • 建築基準法
  • 宅地建物取引業法
  • 民法
  • 借地借家法

まとめ:賃貸経営をはじめるなら不動産会社の紹介サービスを利用するとスムーズ

賃貸経営は、長期的に家賃収入を得られたり税金対策になったりなど多くのメリットが得られます。

ただ一方で、賃貸経営には空室が埋まらなかったり自然災害の被害に遭ったりなどデメリットがあるのも事実です。

また賃貸経営を始めても入居者とのトラブルが起こる可能性があり、法律や税金に関する知識が必要な場面もあります。

専門的な知識に関しては、不動産のプロの不動産会社の協力を得ると良いでしょう。

賃貸経営に興味のある方は、不動産会社や住宅会社をご紹介する住まいの紹介サービスにご相談ください。

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