賃貸の間取りにあるS(サービスルーム)の意味や使い方を解説

サービスルーム

賃貸の間取りには、サービスルームを意味する「S」が記載されていることがあります。

サービスルームとは、建築基準法の居室の要件に当てはまらない空間のことです。

通常は居室と同程度の広さが確保されており、ライフスタイルに合わせてさまざまな使い方ができます。

「日当たりが悪い」「湿気がこもりやすい」などの特徴を理解したうえで、サービスルームの活用方法を考えてみましょう。

この記事では、サービスルームの意味や使い方などをご紹介します。

サービスルームとは?

賃貸の物件情報を見ていると、間取り図に「S」と記載されていることがあるでしょう。

「S」とは、サービスルームの略です。

建築基準法では居室の要件が定義されており、以下の要件に合わない部屋はサービスルームに分類されます。

【採光に関する規定】

○建築基準法第28条第1項及び建築基準法施行令第19条に基づき、住宅、学校などの居室に、採光のための窓等を設置することを義務付けている。
○その採光に有効な窓等の面積は、住宅の場合は各居室の床面積の1/7以上、その他の建築物の場合は居室の床面積の1/10~1/5の政令で定める割合以上としなければならない。

【換気の基準】

窓等の換気に有効な開口部(居室の床面積の1/20以上)

引用:国土交通省「建築基準法制度概要集」

要約すると、「採光を確保する窓の面積が床面積の7分の1以上」「換気するための開口部が床面積の20分の1以上」に該当しない部屋は、サービスルームとして扱われます。

部屋の広さに関する決まりはないため、物件によっては6畳ほどの広さがあることも珍しくありません。

なお、室内に窓がある場合でも、基準を満たす採光が得られない部屋はサービスルームに該当します。

例として、上層階と下層階では光の入り方が異なる場合、上層階の間取りは「2LDK」でも、下層階の間取りは「1DK+S」となるケースがあります。

サービスルームのメリット

サービスルームがある賃貸に住むメリットは、以下のとおりです。

家賃や販売価格が安くなる

サービスルームは居室に当てはまらないため、部屋数にはカウントされません。

間取りとしては狭い印象を受けることから、サービスルーム付き物件は家賃や販売価格が安い傾向があります。

サービスルームは間取り上では狭く見えがちですが、実際は1部屋分のスペースが確保されているケースが多いです。

十分な広さがあるサービスルーム付き物件であれば、同じ面積の物件よりも家賃を節約できるでしょう。

幅広い用途で使える

サービスルームは部屋として独立しており、通常は居室ほどの広さがあることから、幅広い用途で使えます。

収納場所として活用するのはもちろん、工夫次第でさまざまな使い方ができるでしょう。

後述する具体例を参考にしながら、ライフスタイルに合わせて使い方を考えてみるのがおすすめです。

サービスルームのデメリット

サービスルーム付き物件への引っ越しを検討する際は、以下のデメリットを把握しておく必要があります。

エアコン・テレビを設置できない

サービスルームは居室を前提とした設計ではないため、エアコンを設置できないケースが多いです。

ほとんどのサービスルームはエアコンの設置に必要な設備が備え付けられておらず、入居後に設置工事をするのは難しいでしょう。

窓に設置するタイプのエアコンは利用できる可能性がありますが、設置にはある程度の大きさがある窓が必要です。

エアコンだけではなく、サービスルームにはテレビの線や電話回線が引かれていないのが一般的です。

サービスルームの使い方によっては、ほかの部屋からコンセントを引き込むなどの工夫をしなければいけない点に注意しましょう。

日当たりが悪く、湿気がこもりやすい

サービスルームは採光や換気に関する建築基準を満たしていないため、日当たりの悪さや湿気のこもりやすさが懸念されます。

採光や換気の面がよくないことから、洗濯物を干すスペースには向いていません。

空調設備による温度や湿度の調整が難しいため、寝室や子ども部屋などの居室として使うのも難しいでしょう。

工夫次第でさまざまな使い方ができるものの、日照不足や湿気によって用途が制限される点には注意が必要です。

賃貸スタイル

納戸とサービスルームの違い

納戸はサービスルームと似た空間を指し、両者に明確な違いはありません。

物件の見た目によって表現を使い分ける傾向があり、和風の物件の場合は納戸、洋風の物件の場合はサービスルームと記載されるケースが多いです。

なお、間取り図では「N」で納戸を表すのが一般的です。

サービスルームの使い方

ここでは、サービスルームの使い方のアイデアを4つご紹介します。

サービスルーム付き物件への引っ越しを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

収納スペースとして使う

サービスルームは衣類や季節家電、来客用寝具などの収納スペースとして活用できます。

ハンガーラックを設置し、ウォークインクローゼットのように使うのもいいでしょう。

衣類をサービスルームにまとめておくと、衣替えの際にも便利です。

書斎として使う

サービスルームにデスクや照明を用意すれば、書斎として使えます。

居室のようにプライバシーが保たれるため、仕事や読書に集中できるでしょう。

照明用の電源を引き込むのが難しい場合は、充電式や電池式のデスクライトを取り入れる方法があります。

書庫として使う

サービスルームの日当たりの悪さを活かし、書庫として使うのもおすすめです。

日当たりの良い部屋で本を保管すると、本が日焼けする可能性があります。

サービスルームは日当たりが悪いため、本をきれいな状態で保管できるでしょう。

棚を設置すれば、たくさんの本をまとめて整理できます。

子どもの遊び場として使う

サービスルームは子どもの遊び場にも適しています。

ある程度の広さがあるケースが多いため、おもちゃの収納スペースも確保できるでしょう。

サービスルームを遊び場として使う場合は、日当たりの悪さや湿気の問題を考慮し、こまめに換気することが大切です。

まとめ:サービスルームの意味や使い方を理解してより良い物件を探そう!

賃貸の間取りに記載される「S」とは、建築基準法の居室の要件を満たさないサービスルームのことです。

サービスルームは居室ほどの広さがあるケースが多く、工夫次第で幅広い使い方ができます。

面積が同程度の物件に比べて家賃を抑えられるのもメリットです。

一方で、エアコンやテレビを設置するのが難しい点や、日照不足と湿気に問題がある点には注意しましょう。

サービスルームの特徴を理解したうえで、ライフスタイルに適した使い方を考えてみてください。

物件選びで間取りにこだわりたい方には、賃貸スタイルがおすすめです。

豊富な物件のなかから条件に合う物件を探してみましょう。

賃貸スタイルフリーダイヤル

都道府県(アパート・マンション)から賃貸物件を探す