
ライター|F.A
大手不動産グループで17年間、現場実務から本社マーケティング、子会社の代表取締役まで経験。2023年に独立しコンサルティング会社を設立。現在は生成AIやデジタル戦略を活かし、不動産や飲食、広告など幅広い業界の成長を支援している。
目次
物件探しの9割は内見で決まる
賃貸物件を探す際、多くの人が陥る失敗があります。それは、「内見時の確認不足」です。不動産業界の調査によると、入居後に「もっとちゃんと見ておけばよかった」と後悔する人は実に73%にも上ります。わずか30分程度の内見で、これから数年間暮らす住まいを決めるのだから、チェックすべきポイントを押さえることが重要です。
本記事では、不動産業界で20年以上のキャリアを持つプロたちへの取材を基に、内見時に確認すべき56の具体的なチェックポイントを徹底解説します。このリストを活用すれば、入居後の「こんなはずじゃなかった」を限りなくゼロに近づけることができるでしょう。
【内見前の準備】持ち物と内見のベストタイミングは?
持ち物チェックリスト
内見の成功は準備段階から始まっています。以下の7つのアイテムは必ず持参しましょう。
- メジャー(5m以上):家具の配置シミュレーションに必須
- スマートフォン:写真撮影、コンパス機能、騒音測定アプリを活用
- 筆記用具とメモ帳:デジタルより手書きの方が記憶に残りやすい
- 間取り図のコピー:実際の寸法を書き込む
- スリッパ:用意されていない物件もある
- 懐中電灯:収納内部の確認に便利
- >ビー玉:床の傾きチェックに使用
関連記事:内見するときに必要な持ち物は?持っていくと便利なアイテムもご紹介
内見のベストタイミング
物件の真の姿を見極めるには、時間帯選びが重要です。理想的なのは平日の夕方16時〜18時。この時間帯なら、日当たりの変化と帰宅ラッシュ時の周辺環境を同時に確認できます。可能であれば、休日の昼間にも再訪問することで、より正確な生活イメージが掴めるでしょう。
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【室内チェックポイント】見落としがちな確認事項29選
玄関・廊下エリア
物件の第一印象を決める玄関周りは、意外と見落としがちなポイントが多いためしっかり確認しましょう。
ドアの開閉確認
- スムーズに開閉できるか(建付けの良し悪しは建物全体の質を反映)
- 鍵の回しやすさ(固い場合は交換を交渉)
- オートロックの反応速度
収納スペース
- 靴箱の容量(一人あたり10〜15足が目安)
- 傘立てスペースの有無
- 掃除用具を収納できる場所
リビング・居室の要チェック項目
採光・通風
- 各時間帯の日当たり(南向きでも隣接建物で遮られることも)
- 窓を開けた際の風通し
- カーテンレールの有無と状態
防音性能の確認方法 防音性は住み心地を大きく左右します。以下の方法で確認しましょう。
- 壁を軽くノック:コンコンと軽い音なら要注意
- 窓を閉めて外の音を確認:二重サッシなら防音性は高い
- 隣室との境界壁に耳を当てる:生活音が聞こえるかチェック
- スマホの騒音測定アプリ:50デシベル以下が理想的
電源・通信環境
- コンセントの数と位置(6畳で4〜6個が標準)
- テレビ端子、LAN端子の場所
- エアコン用コンセントの有無
水回りの徹底チェック
キッチン
- シンク下の水漏れ跡(カビや変色がないか)
- 換気扇の吸引力(ティッシュを当てて確認)
- コンロの口数と種類(IHかガスか)
- 冷蔵庫置き場のサイズ(搬入経路も含めて)
浴室・洗面所
- 水圧チェック(シャワーは特に重要)
- 排水の流れ具合
- 換気扇の動作音
- カビの痕跡(特に天井の四隅)
- 浴室乾燥機の有無と性能
トイレ
- ウォシュレットの有無と動作
- タンクの水量(節水型は詰まりやすいことも)
- 換気扇の吸引力
- 収納スペース
収納スペースの見極め方
収納は「量」だけでなく「質」も重要です。
クローゼット・押入れ
- 奥行き60cm以上あるか(ハンガーをかけるなら必須)
- 湿気対策(換気口や除湿機能)
- 棚板の可動性
- 内部のカビ臭チェック
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【建物全体・共有部】チェックポイント11選
エントランス・共用廊下
- 清掃状態(管理の質が分かる)
- 掲示板の内容(住民の質が推測できる)
- 照明の明るさ(防犯面で重要)
- 監視カメラの設置状況
駐輪場・ゴミ置き場
- 駐輪場の空き状況と整理整頓具合
- ゴミ出しルールの確認
- 収集日以外のゴミ置き場の状態
エレベーター
- 待ち時間(朝の通勤時間帯が特に重要)
- 定員と広さ
- 防犯カメラの有無
- メンテナンス履歴の掲示
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【周辺環境】チェックポイント16選
最寄り駅までの実測
不動産広告の「徒歩○分」は80m=1分で計算されていますが、実際は信号待ちや坂道で変わります。必ず自分の足で歩いて確認し、以下をチェックしましょう。
- 信号の数と待ち時間
- 歩道の有無と幅
- 街灯の数(夜道の安全性)
- 雨の日の水はけ
生活利便施設のチェック
必須確認施設
- スーパー:品揃えと営業時間
- コンビニ:徒歩5分以内が理想
- 病院・クリニック:緊急時のアクセス
- 銀行・ATM:手数料無料の店舗
あると便利な施設
- ドラッグストア
- クリーニング店
- 飲食店のバリエーション
- 公園や運動施設
騒音源の特定
- 幹線道路や線路からの距離
- 学校や公園(子供の声)
- 工場や商業施設
- 飛行機の航路
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賢く条件を引き出す、内見時の交渉テクニック
値下げ交渉のタイミング
家賃交渉は「いつ」「どのように」行うかが成功の鍵となります。
交渉しやすい時期
- 1〜3月の繁忙期を避けた4〜8月
- 月末(営業担当者の成績締め日)
- 空室期間が3ヶ月以上の物件
効果的な交渉方法
- 複数の物件を比較検討していることを伝える
- 具体的な金額を提示(月額3,000円程度が現実的)
- 長期入居の意思を示す
- 家賃以外の条件(礼金、更新料)も交渉対象に
設備改善の要求
入居前なら設備の改善要求も可能です。
交渉しやすい項目
- エアコンのクリーニングまたは交換
- 網戸の設置
- 照明器具の取り付け
- 鍵の交換
プロが教える内見の裏ワザ
ビー玉テクニック
古典的ですが、床の水平をチェックする確実な方法です。ビー玉を床に置いて転がる方向と速度を確認しましょう。建物の傾きは構造的な問題の可能性があります。
スマホアプリ活用術
- 騒音測定アプリ:客観的な数値で環境を評価
- 方位磁針アプリ:正確な方角確認
- 水準器アプリ:床や壁の水平・垂直確認
写真撮影のコツ
- 全体像から細部へ順番に撮影
- 気になる箇所は複数アングルで
- 採寸した数値をメモと一緒に撮影
- 動画での記録も効果的
関連記事:賃貸の内見で写真撮影はNG?知っておきたい撮影ルールと賢い対処法
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内見チェックシート|印刷して使える完全版
基本情報
- [ ] 物件名・部屋番号
- [ ] 内見日時・天候
- [ ] 担当者名・連絡先
室内チェック項目
- [ ] 玄関ドアの状態
- [ ] 各部屋の採光
- [ ] 窓の開閉・鍵の状態
- [ ] 床の傾き・きしみ
- [ ] 壁・天井のシミ・ひび割れ
- [ ] コンセントの数・位置
- [ ] 水回りの水圧・排水
- [ ] 収納の容量・状態
- [ ] エアコンの年式・動作
- [ ] インターホンの機能
共用部チェック項目
- [ ] エントランスの清潔さ
- [ ] エレベーターの状態
- [ ] 廊下・階段の明るさ
- [ ] ゴミ置き場の管理状態
- [ ] 駐輪場・駐車場
- [ ] 管理人の常駐時間
周辺環境チェック項目
- [ ] 駅までの所要時間
- [ ] スーパー・コンビニの位置
- [ ] 医療機関へのアクセス
- [ ] 騒音源の有無
- [ ] 治安(街灯・人通り)
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まとめ|後悔しない物件選びのために
内見は物件選びの最重要プロセスです。本記事で紹介した56のチェックポイントを押さえれば、入居後の後悔を大幅に減らすことができるでしょう。
特に重要なのは以下の5点です。
- 準備を怠らない:必要な持ち物を揃え、時間に余裕を持つ
- 五感をフル活用:見る・聞く・触る・嗅ぐで総合判断
- 遠慮せずに確認:疑問点は必ずその場で解消
- 複数回訪問:異なる時間帯で物件の別の顔を確認
- 記録を残す:写真・動画・メモで客観的に比較検討
理想の住まいは、偶然見つかるものではありません。しっかりとした準備と確認作業を経て、初めて出会えるものです。このチェックリストを活用して、あなたにとって最高の物件を見つけてください。
賃貸物件の内見は、新生活への第一歩。妥協することなく、納得できる物件選びを実現しましょう。
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お引越しやお部屋探しの予定がある方はぜひご活用ください。
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